隣地の所有者が不明な土地や共有者(相続人)が多数存在する土地等(隣地所有者の筆界確認情報を得ることが困難な土地)について、取引に必要な登記手続を円滑に行うことを可能とするため、申請人の負担軽減 を図りつつ、筆界認定の適正性を確保する新たな運用を令和4年度から開始(令和4年4月14日付け通達発出)します。
これまでの取扱いと課題👇
①土地取引の際には、土地を測量した上で、登記簿上の地積を修正する「地積更正の登記」や土地を分割する「分筆の登記」が行われることが多い。
②この登記を行うためには、対象土地の区画を把握するため、隣地との筆界の認定が必要。※筆界は、土地間の公的な境(所有権境と異なる)
③これまでの実務では、筆界の認定のための有力な証拠として申請人が隣地所有者との間で取り交わした筆界確認情報(筆界確認書)を申請書に添付している(印鑑証明書の添付を求める場合もある。)。
④他方で、近年、所有者不明土地の増加や、隣人関係の希薄化に伴い、隣地所有者から筆界確認情報を得ることが困難なケースが増加。
結果として取引の前提である登記が進まず、 土地取引の阻害要因となっていました。
今回の運用見直しのポイント👇
①登記官の調査によって筆界が明確と認められる場合(精度の高い地図がある場合等)には、筆界確認情報の提供を求めないこととする。
②相続人全員ではなく、相続人のうち現に占有する者のみで足りるとするなど、筆界確認情報を求める範囲を必要最小限にする。
③隣地所有者の押印や印鑑証明書の添付は求めないこととする。
④筆界確認の重要性は従来と変わらないから、申請人の負担を軽減しつつも、登記官の必要な調査により筆界認定の適正性は十分確保する。従来は筆界確認情報に重きが置かれていた筆界の認定を、現地調査の権限や登記所保管資料を活用して、登記官がより積極的に行う。
法務局の取扱要領の改訂等を経て、令和4年10月3日から全国全ての法務局にで運用を開始します。
これまで登記が困難であった事案も円滑な登記手続が容易となり、円滑な土地取引が実現することが期待されます。
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