更新料の法的な解釈としては、 「一般に賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するもの」と解されています。(平成23年最高裁判例)
すなわち、更新料の支払義務に関する特約は有効です。
なお、個人と不動産業者が契約を交わす場合は、消費者契約法が適用されます。
消費者契約法第10条
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
上記裁判ではどのような場合に消費者契約法10条に抵触するか判断しています。👇
「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である」
つまり、
①更新料を具体的に定めているか
②不当に高額ではないか
がポイントになります。
①について
更新料の金額があからさまに不明瞭なケースはあまりないかと思いますが、更新がいつ起こり、その後の契約期間はどうなるのかは注意が必要です。即ち更新料は、ある一定期間経過するごとに払う必要があるのか。。
借地借家法第26条
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
第28条
建物の賃貸人による第26条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
②について、、、
どれくらいの金額なら無効になるかの判断は、法的な性質の解釈に反しない範囲内においてケースバイケースとなります。
例えば、「1年ごとに賃料1年分以上の更新料」では「補充ないし前払い」の性質を有しているとは言えないと考えられます。
ちなみに上記裁判では、「1年ごとに賃料2ヶ月分の更新料」を有効であると判断しています。
賃貸人には賃貸人の事情、賃借人には賃借人の事情があります。
契約書の条項は、お互いに納得し不明瞭なものがないよう、また信頼関係が築けるように心がけることが大切です。
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